過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは、大腸や小腸に原因となる異常が見つからないのに、便通異常と腹部症状が続く病気です。
主な症状は腹痛、腹部不快感や下痢、便秘などの便通異常です。

特徴

- 症状は、仕事が忙しいときに出る
- 症状は、通勤や通学の途中(電車に乗っている時など)に出る
- 休日はなんともない
- おなかが痛いのは昼間だけ。寝ている間は痛くならない
- 最近、職場の異動、転校、転職、引っ越し、結婚など、生活上の大きな変化があった
- 試験や会議の前あるいは最中など緊張する場面で、症状が悪化する
- 映画を観たり、長距離ドライブなどトイレのない場所に出かけたりするのが不安だ
- 旅行や出張先で、きまっておなかの調子が悪くなる
- 気分の落ち込み、不眠、頭痛、肩こりなどがある
分類

下痢型
しょっちゅうおなかが痛くなり、下痢をする
【例】
・緊張すると、おなかが痛くなって下痢をする
・電車に乗ると、おなかが痛くなって、何度も途中下車してトイレにかけ込む
便秘型
便秘が続き、排便の前におなかが苦しくなることが多い。
【例】
・何日も排便がなく、うさぎの糞のようなコロコロとした固い便しか出ない
混合型
下痢と便秘を交互にくり返す人もいます。
下痢や便秘などの症状が1か月以上続いていて、ほかに原因となる病気がない方は、過敏性腸症候群(IBS)の可能性が考えられます。
原因

ストレス | 身体的・精神的ストレスによって自律神経のバランスがくずれて起こる |
腸管運動機能異常 | 腸の動きが過剰になってけいれんし、腹痛や便通異常が起こる |
内臓知覚過敏 | 腸にわずかな刺激が加わっても、それを過敏に「痛み」と感じてしまうために腹痛や便通異常が起こる |
炎症 | 急性腸炎のあと、完全に治りきっていないため、腸炎と似た症状(下痢と腹痛)が起こるとする説(最近、こう考える研究者が出てきました) |
治療のコツ

腸の動きを適切にするお薬と、必要により
精神的な安楽をもたらす薬を使用しますが、
精神的な苦痛を和らげる方法も一緒に考えます。
心理的な原因を処理していくことがとても重要です。例えば子どもの頃、家庭が安全な場所でなく常に緊張状態が続いてシェルターのような場所がなかった場合、トラウマとまではいかなくとも、心の傷として残っているような体験がある場合に起こりやすい特徴があります。
また腹痛や下痢を何度か体験して行くうちに、満員電車に乗るのが怖いとか、電車に乗るだけで条件反射的に便意を催してしまうなどの症状が出てきます。その為、トラウマ処理技法に加え、自律訓練法、催眠なども時に有用です。