解離性障害とは心を守るための「バリア」

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解離性障害は、心が耐えきれないほど強い苦痛や衝撃を受けた際、自分を守るための「防衛本能」として起こる状態です。

1. 記憶の切り離しと心の避難

あまりにも大きな精神的苦痛に直面し、逃げ場がなくなったとき、人の心は一時的にその体験を「自分のものではない」と切り離したり、記憶にバリアを張って思い出せないようにしたりすることがあります。これは、心が壊れてしまわないための、生命維持に近い緊急避難のような仕組みです。

2. 解離性同一性障害(DID)について

苦痛が非常に激しく、自分一人では抱えきれない場合、心の中に「別の性質を持つ自分(交代人格)」が現れ、その苦痛を肩代わりすることがあります。
その間、本来の自分はその時の記憶を失っている(記憶の空白がある)ことがあり、これがかつて「多重人格」と呼ばれていた「解離性同一性障害(DID)」の状態です。

3. 解離症状と豊かな感受性

解離性障害の症状の一つに、自分の体が自分のものではないように感じたり、自分を外側から眺めているような感覚(離人感)を覚えることがあります。
また、この障害を抱える方は、周囲の環境や他者の感情に対して非常に豊かな感受性を持っていることが少なくありません。こうした繊細さは、適切な治療と回復のプロセスを経ることで、**他者の痛みに深く寄り添うことができる「強み」**に変わっていく可能性を秘めています。

治療の方針:心身の土台作りから統合へ

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当院では、漢方薬による身体の安定化を土台とし、脳・身体・対話の多角的なトラウマケアを組み合わせています。

1. 【漢方薬について】心身を整える土台作り

当院では、薬物療法の中心として漢方薬を用いています。
漢方医学では、心身は「気・血・水」のバランスで成り立つと考えられています。心は「気」に属し、気の流れが乱れると心が不安定になりやすくなります。
多くの患者さんでは、気が頭に偏り、足元が不安定な状態、いわゆる**「気の上衝(じょうしょう)」**が見られます。この状態では、焦りや不安が強く、胸がドキドキし、頭がカーッと熱くなる一方で、足の力が抜けて地に足がつかない感覚が起こります。
漢方薬はこの気の流れを整え、身体と心のバランスを取り戻すことで、心が落ち着くための確かな土台を作ります。身体の安定が得られてこそ、その後のトラウマ処理が安全かつ効果的に行えると考えています。

2. カウンセリングによる「意味の再構成」

安心できる対話を通じて、苦痛の本質を共に紐解いていきます。なぜ解離が必要だったのかを深く理解し、バラバラだった記憶が「一つの物語」として腑に落ちたとき、深い精神的浄化(カタルシス)が訪れます。

3. EMDR:脳の情報処理を促進する

トラウマ記憶を効率的に処理するために、**EMDR(眼球運動による脱感作と再処理)**を取り入れています。左右に目を動かすなどの刺激により、脳が本来持っている「情報処理能力」を活性化させます。これにより、過去の圧倒的な苦痛を和らげ、記憶を「終わったこと」として整理していきます。

4. TRE®:身体に溜まったエネルギーの放散

トラウマによる過度な緊張は身体に蓄積されます。**TRE®(トラウマリリーシングエクササイズ)**という運動療法がありますが、当院では自分で出来るように工夫して、身体に備わった緊張の開放を目指しています。深部に残っているトラウマエネルギーを体外へと放散し、神経系のバランスを根本から整えます。

5. 本来の健やかさを取り戻すために

「今、ここにいる自分」という安心感を安全に取り戻せるよう、東洋医学と西洋の最新療法を統合し、あなたが本来持っている豊かな力を活かせるようサポートいたします。